コンサルから事業会社に転職すべきか迷っている。
この悩みを抱えるコンサルタントは多いです。
結論から言うと、コンサルから事業会社への転職は、キャリアの選択肢として十分にアリです。ただし、安易に転職すると後悔することもあります。理由を明確にし、注意点を理解した上で判断してください。
私は大手外資コンサルティングファームで働いており、同僚がコンサルから事業会社に転職するケースを多く見てきました。成功した人も、後悔した人もいます。
この記事では、コンサルから事業会社に転職する人の理由と注意点を、実体験を交えて解説します。
コンサルから事業会社への転職は一般的
まず、コンサルから事業会社への転職は一般的であることを説明します。
「ポストコンサル」というキャリアパス
コンサルタントが一定期間コンサルで働いた後、事業会社に転職することを「ポストコンサル」と呼びます。
コンサルティングファームでは、Up or Out(昇進するか辞めるか)のカルチャーがあり、長く居続ける人は限られます。多くのコンサルタントは、3〜7年程度でコンサルを卒業し、次のキャリアに進みます。
事業会社への転職先
コンサルから事業会社への主な転職先は、以下の通りです。
転職先の例
- 大手事業会社(トヨタ、ソニー、パナソニックなど)
- 外資系事業会社(Google、Amazon、Microsoftなど)
- メガベンチャー(メルカリ、楽天、サイバーエージェントなど)
- スタートアップ
- PEファンド・投資ファンドの投資先企業
転職先のポジション
コンサルから事業会社に転職する場合、以下のようなポジションに就くことが多いです。
一般的な転職先ポジション
- 経営企画
- 事業企画・事業開発
- 戦略部門
- 新規事業
- PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)
- DX推進・IT企画
- CFO直下の部門
- COO・経営幹部(シニアコンサルの場合)
コンサルでの経験を活かして、企画系・戦略系のポジションに就くことが多いです。
コンサルから事業会社に転職する理由
コンサルから事業会社に転職する主な理由を説明します。
理由① 自分で実行したい
コンサルは「提案する」仕事であり、「実行する」のはクライアントです。
「提案して終わり」ではなく、「自分で実行し、結果を出したい」と思うコンサルタントは多いです。事業会社に転職すれば、自分で意思決定し、実行できます。
よくある声
- 「提案書を作るだけでなく、自分で実行したい」
- 「最後まで見届けたい」
- 「結果に責任を持ちたい」
理由② 一つの事業に深く関わりたい
コンサルは、プロジェクト単位で複数のクライアントに関わります。
「広く浅く」ではなく、「一つの事業に深く関わりたい」と思うコンサルタントは多いです。事業会社に転職すれば、一つの事業を長期的に育てる経験ができます。
よくある声
- 「もっと深く関わりたい」
- 「長期的な視点で事業を育てたい」
- 「自分の専門領域を作りたい」
理由③ ワークライフバランスを改善したい
コンサルの労働時間は長いです。
ワークライフバランスを改善するために、事業会社に転職するコンサルタントは多いです。事業会社の方が、労働時間が安定していることが多いです。
よくある声
- 「家族との時間を増やしたい」
- 「趣味の時間を確保したい」
- 「健康を優先したい」
ただし、事業会社でも忙しいポジションはあります。転職先によっては、コンサルと変わらない労働時間になることもあります。
理由④ Up or Outのプレッシャーから逃れたい
コンサルのUp or Out(昇進するか辞めるか)のカルチャーは、プレッシャーが大きいです。
「常に評価されている」「昇進できなければ居場所がない」というプレッシャーから逃れたいと思うコンサルタントは多いです。事業会社の方が、このプレッシャーは小さいことが多いです。
よくある声
- 「常に競争しているのが疲れた」
- 「もっと安定した環境で働きたい」
- 「長期的に腰を据えて働きたい」
理由⑤ 専門性を活かしたい
コンサルで培った専門性を、事業会社で活かしたいと考えるコンサルタントもいます。
例えば、M&Aの専門家が事業会社のM&A部門に転職する、DXの専門家が事業会社のDX推進部門に転職する、といったケースです。
よくある声
- 「自分の専門性を一つの会社で発揮したい」
- 「コンサルで学んだことを事業会社で実践したい」
理由⑥ 年収を上げたい(シニアの場合)
シニアレベルのコンサルタントが、事業会社のCxOポジションに転職すると、年収が上がることがあります。
特に、スタートアップや中堅企業のCOO、CFO、CSOなどに転職すると、コンサル時代より高い年収+ストックオプションを得られることがあります。
理由⑦ 自分のプロダクト・サービスを持ちたい
「クライアントのプロダクト」ではなく、「自分のプロダクト」を持ちたいと考えるコンサルタントもいます。
事業会社に転職すれば、その会社のプロダクト・サービスに愛着を持って働けます。
よくある声
- 「自分が誇れるプロダクトに関わりたい」
- 「ユーザーの反応を直接見たい」
コンサルから事業会社に転職する際の注意点
コンサルから事業会社に転職する際の注意点を説明します。
注意点① 年収が下がることがある
コンサルから事業会社に転職すると、年収が下がることがあります。
年収比較の例
| ポジション | コンサル | 事業会社 |
|---|---|---|
| マネージャー | 1400万円〜1800万円 | 1000万円〜1400万円 |
| シニアマネージャー | 1800万円〜2500万円 | 1200万円〜1800万円 |
特に、日系大手事業会社に転職する場合、年収が下がることが多いです。外資系事業会社やスタートアップ(ストックオプション込み)であれば、同等以上になることもあります。
注意点② 意思決定のスピードが遅い
事業会社は、コンサルより意思決定のスピードが遅いことが多いです。
コンサルでは、数週間で分析して提案を作成します。しかし、事業会社では、根回し、稟議、承認プロセスに数ヶ月かかることもあります。
よくあるギャップ
- 「提案しても、すぐに決まらない」
- 「関係者が多すぎて、調整に時間がかかる」
- 「スピード感が違いすぎる」
このギャップに適応できず、ストレスを感じるコンサル出身者は多いです。
注意点③ 実行の泥臭さに直面する
コンサルは「提案する」までが仕事ですが、事業会社は「実行する」ことが求められます。
実行には、泥臭い作業が伴います。現場との調整、システムの設定、細かい作業の積み重ね。コンサルで「きれいな提案書を作る」ことに慣れていると、このギャップに苦しむことがあります。
よくあるギャップ
- 「実行は思ったより泥臭い」
- 「現場の抵抗に直面する」
- 「細かい作業が多い」
注意点④ 社内政治に巻き込まれる
事業会社では、社内政治に巻き込まれることがあります。
コンサルは外部の立場であり、社内政治からは距離を置けます。しかし、事業会社の社員になると、派閥、人間関係、利害関係の中で働くことになります。
よくあるギャップ
- 「正論が通らない」
- 「誰に根回しすべきか分からない」
- 「社内政治が面倒」
注意点⑤ 専門性が求められる
事業会社では、特定の領域の専門性が求められることがあります。
コンサルでは、複数の業界・テーマに関わる「ジェネラリスト」でも評価されます。しかし、事業会社では、その業界・事業の専門家であることが求められます。
よくあるギャップ
- 「業界の知識が足りない」
- 「現場のことを知らない」
- 「コンサルの視点だけでは通用しない」
注意点⑥ 「コンサル出身」が邪魔になることがある
事業会社では、「コンサル出身」がネガティブに見られることがあります。
よくある偏見
- 「コンサルは提案だけで、実行できない」
- 「コンサルは現場を知らない」
- 「コンサルは上から目線」
このような偏見を持つ人が社内にいると、最初は苦労することがあります。謙虚な姿勢で、現場に入り込むことが重要です。
注意点⑦ 物足りなさを感じることがある
コンサルのスピード感、刺激、成長機会に慣れていると、事業会社で物足りなさを感じることがあります。
よくあるギャップ
- 「刺激が少ない」
- 「成長スピードが遅い」
- 「優秀な人が少ない」
コンサルの環境が「当たり前」になっていると、このギャップに苦しむことがあります。
注意点⑧ 戻りにくいことがある
一度コンサルを辞めると、戻りにくいことがあります。
もちろん、コンサルに再入社することは可能です。しかし、事業会社で数年過ごすと、コンサルのスピード感についていけなくなることがあります。また、「なぜ戻りたいのか」を説明する必要があります。
コンサルから事業会社への転職で成功する人・失敗する人
成功する人と失敗する人の特徴を示します。
成功する人の特徴
特徴① 転職理由が明確 「なぜ事業会社に行きたいのか」が明確な人は成功します。「コンサルが嫌だから」ではなく、「〇〇を実現したいから」というポジティブな理由がある人です。
特徴② 実行への意欲がある 「提案する」だけでなく、「実行する」ことに意欲がある人は成功します。泥臭い作業も厭わない姿勢が重要です。
特徴③ 謙虚に学べる コンサル出身のプライドを捨て、謙虚に現場から学べる人は成功します。「コンサルではこうだった」と言い続ける人は失敗します。
特徴④ 長期的な視点を持てる 短期的な成果だけでなく、長期的な視点で事業を育てる姿勢がある人は成功します。
特徴⑤ 社内政治に適応できる 社内の利害関係を理解し、適切に立ち回れる人は成功します。正論だけでは通らないことを理解している人です。
失敗する人の特徴
特徴① 転職理由が「逃げ」 「コンサルがつらいから」「Up or Outから逃げたいから」という理由だけで転職する人は、事業会社でも同じ問題に直面することがあります。
特徴② コンサルのやり方を押し付ける 「コンサルではこうだった」「これが正しいやり方だ」と押し付ける人は、社内で浮いてしまいます。
特徴③ 実行を軽視する 「戦略さえ正しければ成功する」と思い、実行の泥臭さを軽視する人は失敗します。
特徴④ スピードのギャップに適応できない コンサルのスピード感に慣れていて、事業会社の意思決定の遅さに適応できない人は、ストレスを溜めて退職することがあります。
特徴⑤ 転職先の調査が不十分 「事業会社なら何でもいい」と、転職先の調査を十分にせずに転職する人は、入社後にギャップに苦しみます。
コンサルから事業会社への転職を成功させるためのポイント
転職を成功させるためのポイントを示します。
ポイント① 転職理由を明確にする
「なぜ事業会社に行きたいのか」を明確にしてください。
明確にすべきこと
- コンサルで何を得たか
- なぜ事業会社に行きたいのか
- 事業会社で何を実現したいのか
- なぜ今のタイミングなのか
これらが明確であれば、面接でも説得力のある回答ができます。
ポイント② 転職先を慎重に選ぶ
「事業会社なら何でもいい」ではなく、転職先を慎重に選んでください。
確認すべきこと
- 事業内容に興味を持てるか
- ポジションの期待値は明確か
- 意思決定のスピードはどうか
- 社風は自分に合っているか
- 上司になる人はどんな人か
- コンサル出身者の評判はどうか
可能であれば、現職の社員や元社員に話を聞いてください。
ポイント③ 年収以外の要素も考慮する
年収だけでなく、以下の要素も考慮してください。
考慮すべき要素
- 仕事のやりがい
- 成長機会
- ワークライフバランス
- 将来のキャリアパス
- 福利厚生
- 職場の雰囲気
年収が下がっても、総合的に満足できる転職であれば、後悔しません。
ポイント④ 謙虚な姿勢で入社する
入社後は、謙虚な姿勢で現場から学んでください。
心がけるべきこと
- 「コンサルではこうだった」を封印する
- 現場の人から学ぶ姿勢を見せる
- 最初は聞き役に回る
- 小さな成果を積み重ねる
- 信頼を得てから提案する
最初の3〜6ヶ月は、「学ぶ期間」と位置づけてください。
ポイント⑤ 実行にコミットする
提案だけでなく、実行にコミットしてください。
心がけるべきこと
- 自分で手を動かす
- 現場に入り込む
- 細かい作業も厭わない
- 最後まで責任を持つ
「コンサルは実行できない」という偏見を、自分の行動で覆してください。
ポイント⑥ 社内政治を理解する
社内の利害関係、人間関係を理解し、適切に立ち回ってください。
心がけるべきこと
- キーパーソンを把握する
- 根回しを怠らない
- 敵を作らない
- 味方を増やす
正論だけでは通らないことを理解し、政治的に動くことも必要です。
コンサルから事業会社に転職した人の実体験
実際にコンサルから事業会社に転職した人の体験を紹介します。
実体験① 戦略コンサルから大手メーカー経営企画へ
プロフィール
- 戦略コンサルで5年(シニアコンサルタント)
- 大手メーカーの経営企画部に転職
- 年収:1400万円 → 1100万円
転職理由 「提案するだけでなく、自分で実行したかった。一つの会社の成長に長期的に関わりたいと思った。」
転職後の感想 「最初の半年は、意思決定の遅さにイライラした。でも、1年経った今は、長期的な視点で事業を考えられることにやりがいを感じている。年収は下がったけど、ワークライフバランスは改善した。後悔はしていない。」
実体験② ITコンサルからメガベンチャーDX推進部門へ
プロフィール
- ITコンサルで6年(マネージャー)
- メガベンチャーのDX推進部門に転職
- 年収:1600万円 → 1500万円(ほぼ同等)
転職理由 「一つのプロダクトに深く関わりたかった。コンサルでは、プロジェクトが終わると次のクライアントに移るのが物足りなかった。」
転職後の感想 「自分のプロダクトを持てることに、大きなやりがいを感じている。実行の難しさも実感したけど、それを乗り越えるのが楽しい。コンサルで培ったスキルは、思った以上に役立っている。」
実体験③ 総合コンサルからスタートアップCOOへ
プロフィール
- 総合コンサルで8年(シニアマネージャー)
- スタートアップのCOOとして転職
- 年収:2000万円 → 1500万円+ストックオプション
転職理由 「経営に近い立場で働きたかった。コンサルでは、どれだけ頑張っても経営者にはなれない。自分で会社を動かす経験がしたかった。」
転職後の感想 「責任の重さは、コンサル時代の比ではない。でも、自分の意思決定で会社が動くのは、最高にエキサイティング。ストックオプションがあるので、会社が成長すれば、コンサル時代より稼げる可能性もある。リスクはあるけど、挑戦して良かった。」
コンサルから事業会社への転職でよくある質問
よくある質問に答えます。
Q. コンサルは何年やってから事業会社に転職すべき?
A. 3〜5年程度が目安です。
3年未満だと、コンサルでの経験が浅いと見られることがあります。5年以上であれば、十分な経験があると評価されます。ただし、明確な目的があれば、年数に関係なく転職しても問題ありません。
Q. 事業会社に転職すると、コンサルに戻れなくなる?
A. 戻れなくなるわけではありませんが、難しくなることはあります。
事業会社で数年過ごすと、コンサルのスピード感についていけなくなることがあります。また、「なぜ戻りたいのか」を説明する必要があります。
Q. 年収が下がっても転職すべき?
A. 年収以外の要素(やりがい、ワークライフバランス、成長機会など)を総合的に考えてください。
年収が下がっても、総合的に満足できるなら転職すべきです。年収だけを理由に転職を決めると、後悔することがあります。
Q. 経営企画と事業企画、どちらが良い?
A. 目的によります。
- 経営企画:全社的な戦略、中期経営計画、M&Aなどに関わりたいなら
- 事業企画:特定の事業に深く関わり、事業を成長させたいなら
どちらが良いかは、自分が何をしたいかによります。
Q. スタートアップと大手、どちらが良い?
A. リスク許容度と目的によります。
- スタートアップ:裁量が大きい、成長機会が多い、ストックオプションがある、ただしリスクも大きい
- 大手:安定している、リソースが豊富、ただし意思決定が遅い
リスクを取れるならスタートアップ、安定を求めるなら大手が良いでしょう。
まとめ:コンサルから事業会社への転職は「何を得たいか」で判断する
コンサルから事業会社への転職についてまとめます。
コンサルから事業会社への転職は、キャリアの選択肢として十分にアリです。「自分で実行したい」「一つの事業に深く関わりたい」「ワークライフバランスを改善したい」といった理由で転職する人が多いです。
ただし、注意点もあります。年収が下がること、意思決定のスピードが遅いこと、実行の泥臭さに直面すること、社内政治に巻き込まれることなどを理解しておく必要があります。
転職を成功させるためには、転職理由を明確にし、転職先を慎重に選び、謙虚な姿勢で入社し、実行にコミットすることが重要です。
「何を得たいか」を明確にした上で、後悔のない決断をしてください。


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