転職活動は、在職中にすべきか、退職してからすべきか。この悩みを抱える人は多いです。
結論から言うと、ほとんどの場合、在職中に転職活動をすべきです。収入が途絶えず、交渉力を保てるからです。ただし、状況によっては退職後の転職活動が適している場合もあります。
私は大手外資コンサルティングファームで働いており、転職活動を在職中に行った経験があります。また、採用側として、在職中の候補者と退職後の候補者の両方を見てきました。
この記事では、転職活動を在職中にすべきか退職後にすべきかの判断基準と、それぞれの進め方を解説します。
在職中の転職活動をおすすめする理由
まず、在職中の転職活動をおすすめする理由を説明します。
理由① 収入が途絶えない
在職中なら、収入が途絶えません。
転職活動は、思ったより時間がかかることがあります。3ヶ月で決まると思っていたのに、6ヶ月かかることも珍しくありません。退職後に転職活動をすると、その間の生活費を貯金から切り崩すことになります。
在職中なら、転職活動が長引いても、収入は確保されています。経済的な不安なく、じっくり転職先を選べます。
理由② 交渉力を保てる
在職中なら、交渉力を保てます。
「今の会社に残る」という選択肢があるため、条件が合わなければ断れます。年収交渉でも、「現職より低いなら転職しない」という立場を取れます。
退職後だと、「早く決めなければ」という焦りから、条件を妥協してしまうことがあります。交渉力が弱くなり、不利な条件で入社することになりかねません。
理由③ ブランク(空白期間)ができない
在職中に転職すれば、キャリアにブランクができません。
退職後に転職活動をすると、無職の期間ができます。この期間が長くなると、面接で「この期間は何をしていましたか?」と聞かれます。
ブランクが長いと、「何か問題があるのでは」「スキルが落ちているのでは」と懸念されることがあります。
理由④ 焦って決めなくて済む
在職中なら、焦って転職先を決めなくて済みます。
退職後だと、貯金が減っていく不安、社会との接点がなくなる孤独感、「早く決めなければ」というプレッシャーを感じます。この焦りから、本来なら選ばない会社に入社してしまうことがあります。
在職中なら、「良い会社がなければ転職しない」という余裕を持てます。
理由⑤ 市場価値を確認できる
在職中の転職活動は、自分の市場価値を確認する機会にもなります。
実際に応募してみて、書類選考に通るか、どのくらいの年収を提示されるかを確認できます。もし市場価値が思ったより低ければ、現職でスキルアップしてから再挑戦することもできます。
退職後だと、市場価値が低いと分かっても、後戻りできません。
理由⑥ 採用側からの印象が良い
採用側から見ると、在職中の候補者の方が印象が良いことがあります。
採用側の視点
- 「現職で活躍しているから、他社からも求められている」
- 「計画的にキャリアを考えている」
- 「すぐに辞めるタイプではなさそう」
退職後の候補者は、「なぜ辞めてから転職活動をしているのか」と疑問を持たれることがあります。
退職後の転職活動が適しているケース
ただし、以下のようなケースでは、退職後の転職活動が適している場合もあります。
ケース① 心身の健康を損なっている
現職で心身の健康を損なっている場合は、退職を優先してください。
該当するケース
- 過労で体調を崩している
- メンタルヘルスに問題が出ている
- ハラスメントを受けている
- 睡眠障害、食欲不振などの症状がある
健康より大切な仕事はありません。まず退職して休養し、回復してから転職活動を始めてください。
ケース② 転職活動の時間が全く取れない
現職が忙しすぎて、転職活動の時間が全く取れない場合です。
該当するケース
- 毎日深夜まで残業している
- 土日も出勤している
- 有給休暇が取れない
- 面接の時間を確保できない
このような場合は、退職して時間を確保した方が、効率的に転職活動を進められます。
ケース③ 十分な貯金がある
十分な貯金があり、半年〜1年程度は収入がなくても生活できる場合です。
目安
- 生活費の6ヶ月〜1年分の貯金がある
- 失業保険も活用できる
- 家族の収入がある
経済的な余裕があれば、退職後に転職活動をしても、焦らずに進められます。
ケース④ 海外転職や大きなキャリアチェンジを目指している
海外転職や大きなキャリアチェンジを目指している場合、準備に時間がかかることがあります。
該当するケース
- 海外でのビザ取得に時間がかかる
- 新しいスキルを習得する必要がある
- ポートフォリオを作成する必要がある
- 留学や資格取得を挟む
このような場合は、退職して準備に集中した方が効率的なこともあります。
ケース⑤ 会社都合での退職
会社都合で退職する場合(リストラ、会社の倒産など)は、退職後の転職活動になります。
この場合、面接でも「会社都合での退職」と説明すれば、ネガティブに捉えられることは少ないです。
ケース⑥ 退職が決まっている
すでに退職が決まっている場合(契約期間の終了、プロジェクトの終了など)は、退職後の転職活動も選択肢になります。
退職までの期間に転職活動を進め、退職後にスムーズに次の会社に入社できるように計画してください。
在職中の転職活動の進め方
在職中の転職活動の進め方を説明します。
進め方① 時間を確保する
まず、転職活動の時間を確保してください。
時間確保の方法
- 有給休暇を計画的に取得する
- 半休を活用する
- 早朝や夜の時間を使う
- 昼休みを活用する
- 通勤時間を活用する(情報収集、書類準備)
面接は、平日の日中に行われることが多いです。有給休暇や半休を使って対応してください。最近はオンライン面接も増えているため、昼休みや就業後に面接を受けられることもあります。
進め方② 会社にバレないように注意する
転職活動が会社にバレないように注意してください。
注意すべきこと
- 会社のPCやメールを使わない
- 会社のネットワークで転職サイトにアクセスしない
- 同僚に話さない
- SNSで転職活動について投稿しない
- 面接の日に急にスーツを着ない
- 頻繁に半休を取りすぎない
会社にバレると、居づらくなったり、評価が下がったりするリスクがあります。
進め方③ 転職エージェントを活用する
転職エージェントを活用すると、効率的に転職活動を進められます。
エージェント活用のメリット
- 求人を探す手間が省ける
- 書類の添削、面接対策をしてもらえる
- 面接日程の調整を代行してもらえる
- 年収交渉を代行してもらえる
- 非公開求人にアクセスできる
忙しい在職中の転職活動では、エージェントの力を借りることで、効率よく進められます。
進め方④ 応募数を絞る
在職中は時間が限られるため、応募数を絞ってください。
絞り方のポイント
- 本当に行きたい会社に絞る
- 条件に合わない会社は応募しない
- 一度に多くの面接を入れすぎない
たくさん応募しても、面接の準備が不十分になり、結果的に通過率が下がります。質を重視してください。
進め方⑤ 退職のタイミングを計画する
内定が出たら、退職のタイミングを計画してください。
確認すべきこと
- 退職の申し出は何日前までに必要か(就業規則を確認)
- 引き継ぎにどのくらいの期間が必要か
- 有給休暇の消化はできるか
- 入社日はいつが良いか
一般的には、退職の申し出から退職日まで1〜2ヶ月程度かかります。内定先の入社日と調整してください。
進め方⑥ 複数のオファーを比較する
可能であれば、複数のオファーを同時に取得し、比較してください。
比較すべきポイント
- 年収(ベース、ボーナス、株式報酬)
- 仕事内容、成長機会
- 働き方(リモート、フレックス)
- 企業文化
- キャリアパス
複数のオファーがあれば、交渉力も高まります。
退職後の転職活動の進め方
退職後の転職活動の進め方を説明します。
進め方① 退職前に準備を進める
退職後に転職活動を始めるとしても、退職前に準備を進めてください。
退職前にやるべきこと
- 職務経歴書の作成
- 転職サイト、エージェントへの登録
- 希望条件の整理
- 市場調査(求人、年収相場)
- 推薦者(リファレンス)の確保
退職後すぐに動き出せるように、準備を整えておいてください。
進め方② スケジュールを立てる
退職後の転職活動は、スケジュールを立ててください。
スケジュール例
- 1ヶ月目:集中的に応募、面接
- 2ヶ月目:面接、オファー獲得
- 3ヶ月目:入社
ダラダラと長引かせないように、期限を設定してください。
進め方③ 生活リズムを維持する
退職後は、生活リズムが乱れがちです。
維持すべきこと
- 朝は決まった時間に起きる
- 日中に転職活動を行う
- 適度な運動をする
- 社会との接点を維持する
生活リズムが乱れると、面接のパフォーマンスにも影響します。
進め方④ ブランクの説明を準備する
退職後の転職活動では、ブランクについて聞かれます。
説明のポイント
- ポジティブに説明する
- 具体的に何をしていたかを伝える
- 転職活動に集中していたことを伝える
説明の例
「前職が非常に忙しく、在職中に転職活動をする時間が取れませんでした。退職後は、転職活動に集中しながら、〇〇のスキルアップにも取り組んでいました。具体的には、AWSの認定資格を取得し、個人プロジェクトで〇〇を開発していました。」
進め方⑤ 焦りに負けない
退職後は、焦りを感じやすいです。
焦りの原因
- 貯金が減っていく
- 社会との接点がなくなる
- 「早く決めなければ」というプレッシャー
- 周囲からのプレッシャー
この焦りから、条件を妥協してしまうことがあります。最初に設定した条件を守り、焦って決めないようにしてください。
進め方⑥ 失業保険を活用する
自己都合退職の場合でも、失業保険を受給できます。
失業保険のポイント
- 自己都合退職の場合、給付制限(2ヶ月)がある
- 給付期間は、年齢と雇用保険の加入期間による
- ハローワークでの求職活動が必要
失業保険を活用すれば、経済的な負担を軽減できます。
在職中 vs 退職後:メリット・デメリット比較
在職中と退職後の転職活動を比較します。
メリット・デメリット比較表
| 項目 | 在職中 | 退職後 |
|---|---|---|
| 収入 | ◎ 継続 | × 途絶える |
| 交渉力 | ◎ 強い | △ 弱くなりがち |
| 時間 | △ 限られる | ◎ 十分に取れる |
| 焦り | ◎ 少ない | × 感じやすい |
| ブランク | ◎ なし | △ できる |
| 準備 | △ 十分にできないことも | ◎ 集中できる |
| 面接調整 | △ 難しい | ◎ 柔軟に対応可能 |
| 精神的負担 | △ 両立のストレス | △ 無職のストレス |
| 採用側の印象 | ◎ 良い | △ 理由次第 |
判断フローチャート
以下のフローで判断してください。
Q1. 心身の健康を損なっていますか?
- Yes → 退職を優先
- No → Q2へ
Q2. 転職活動の時間を確保できますか?
- Yes → 在職中に転職活動
- No → Q3へ
Q3. 十分な貯金がありますか?(生活費6ヶ月〜1年分)
- Yes → 退職後の転職活動も選択肢
- No → 在職中に転職活動(時間を工夫する)
Q4. 海外転職や大きなキャリアチェンジを目指していますか?
- Yes → 退職後の転職活動も選択肢
- No → 在職中に転職活動
ほとんどの場合、在職中の転職活動が推奨されます。
在職中の転職活動でよくある悩み
在職中の転職活動でよくある悩みと対処法を紹介します。
悩み① 面接の時間が取れない
対処法
- 有給休暇を使う
- 半休を活用する
- オンライン面接を依頼する
- 早朝や夜の面接を依頼する
- 昼休みに面接を受ける
最近は、オンライン面接が一般的になっています。また、候補者の都合に合わせて、早朝や夜に面接を設定してくれる企業も増えています。
悩み② 会社にバレないか不安
対処法
- 転職サイトの「企業ブロック機能」を使う
- LinkedInの設定を確認する
- 同僚に話さない
- 面接の日に普段と違う服装をしない
転職サイトでは、現職の会社からプロフィールを見られないようにブロックする機能があります。活用してください。
悩み③ 現職との両立がつらい
対処法
- 応募数を絞る
- 一度に面接を入れすぎない
- 週末を有効活用する
- 転職活動の期間を区切る
両立が難しい場合は、「3ヶ月間だけ頑張る」と期間を区切ると、精神的に楽になります。
悩み④ 内定後の退職交渉が不安
対処法
- 退職の申し出は、就業規則を確認してから
- 感謝を伝えた上で、退職の意思を伝える
- 引き継ぎをしっかり行う意思を示す
- 引き止められても、決意が固いことを伝える
退職交渉は、多くの人が不安に感じます。しかし、退職は労働者の権利です。礼儀正しく、しかし毅然と伝えてください。
悩み⑤ 入社日の調整が難しい
対処法
- 内定先に状況を説明する
- 現職の退職手続きに必要な期間を伝える
- 可能な範囲で調整する
多くの企業は、入社日を1〜2ヶ月程度は待ってくれます。内定先に正直に状況を伝え、調整してください。
退職後の転職活動でよくある悩み
退職後の転職活動でよくある悩みと対処法を紹介します。
悩み① ブランクについて聞かれる
対処法
- ポジティブに説明する
- スキルアップに取り組んでいたことを伝える
- 転職活動に集中していたことを伝える
説明例
「この期間は、転職活動に集中しながら、〇〇の学習にも取り組んでいました。具体的には、〇〇の資格を取得し、個人プロジェクトで〇〇を開発しました。」
悩み② 焦ってしまう
対処法
- 最初に条件を決め、妥協しない
- 転職活動のスケジュールを立てる
- 焦りを感じたら、一度立ち止まる
- 信頼できる人に相談する
焦って決めた転職は、後悔することが多いです。冷静に判断してください。
悩み③ 生活リズムが乱れる
対処法
- 毎日決まった時間に起きる
- 日中に転職活動を行う
- 適度な運動をする
- 社会との接点を維持する(勉強会、コミュニティなど)
生活リズムを維持することで、面接でも良いパフォーマンスを発揮できます。
悩み④ 長引いてしまう
対処法
- 応募数を増やす
- 条件を見直す
- 書類や面接の改善点を分析する
- エージェントにフィードバックをもらう
転職活動が長引いている場合は、何かを変える必要があります。客観的なフィードバックをもらい、改善してください。
悩み⑤ 経済的に不安
対処法
- 失業保険を活用する
- 生活費を見直す
- 必要に応じて、アルバイトや副業をする
- 期限を設定し、それまでに決まらなければ条件を見直す
経済的な不安が大きい場合は、期限を設定し、それまでに決まらなければ条件を緩和することも検討してください。
転職活動のスケジュール例
転職活動のスケジュール例を示します。
在職中の転職活動スケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 自己分析、希望条件の整理 |
| 2週目 | 職務経歴書の作成、転職サイト登録 |
| 3〜4週目 | エージェント面談、求人探し |
| 5〜8週目 | 応募、書類選考 |
| 9〜12週目 | 面接(一次〜最終) |
| 13〜14週目 | オファー獲得、条件交渉 |
| 15〜16週目 | 内定承諾、退職の申し出 |
| 17〜20週目 | 引き継ぎ、有給消化 |
| 21週目〜 | 入社 |
在職中の場合、転職活動開始から入社まで、4〜6ヶ月程度かかることが一般的です。
退職後の転職活動スケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職前 | 職務経歴書の作成、エージェント登録 |
| 1週目 | 集中的に応募 |
| 2〜4週目 | 面接(一次〜最終) |
| 5〜6週目 | オファー獲得、条件交渉 |
| 7〜8週目 | 内定承諾、入社準備 |
| 9週目〜 | 入社 |
退職後で時間に余裕がある場合、2〜3ヶ月程度で入社できることもあります。ただし、長引く場合もあるため、余裕を持った計画を立ててください。
よくある質問
転職活動のタイミングに関するよくある質問に答えます。
Q. 転職活動はどのくらいの期間がかかる?
A. 一般的に、3〜6ヶ月程度です。
在職中の場合、時間が限られるため、4〜6ヶ月程度かかることが多いです。退職後で集中できる場合は、2〜3ヶ月で決まることもあります。ただし、ハイクラス転職や専門性の高いポジションは、より長くかかることがあります。
Q. 退職してから転職活動をすると、不利になる?
A. 必ずしも不利ではありませんが、理由の説明が必要です。
退職理由を納得感のある形で説明できれば、不利にはなりません。ただし、ブランクが長くなると、懸念されることがあります。
Q. 内定をもらってから退職を伝えるべき?
A. はい、内定をもらってから退職を伝えてください。
内定が確定する前に退職を伝えると、内定が取り消された場合に困ります。オファーレターにサインしてから、退職を伝えてください。
Q. 退職を引き止められたらどうする?
A. 転職の意思が固ければ、丁寧に断ってください。
引き止めで提示される条件(昇給、昇進など)に魅力を感じるなら、検討しても良いでしょう。ただし、一度退職の意思を示すと、その後の評価に影響することもあります。
Q. 有給休暇は消化できる?
A. 法律上は、有給休暇を取得する権利があります。
ただし、引き継ぎとの兼ね合いで、すべてを消化できないこともあります。退職日と入社日を調整し、できる限り消化してください。
まとめ:基本は在職中、状況に応じて判断
転職活動のタイミングについてまとめます。
基本的には、在職中に転職活動をすることをおすすめします。収入が途絶えず、交渉力を保て、焦らずに転職先を選べるからです。
ただし、心身の健康を損なっている場合、転職活動の時間が全く取れない場合、十分な貯金がある場合などは、退職後の転職活動も選択肢になります。
在職中の転職活動では、時間を確保する、会社にバレないようにする、エージェントを活用する、応募数を絞ることがポイントです。
退職後の転職活動では、退職前に準備を進める、スケジュールを立てる、焦りに負けない、ブランクの説明を準備することがポイントです。
自分の状況に合わせて、最適なタイミングで転職活動を進めてください。

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