「自社開発企業に転職したいのに、書類選考すら通らない」「SIerや受託の経験は評価されないのでは」。こうした不安を抱えて検索されている方が多いのではないでしょうか。結論から言えば、自社開発企業への転職は確かに難易度が高い部類に入りますが、それは「経歴が劣っているから」ではなく「評価される軸が異なるから」です。筆者は外資コンサルティングファームに在籍しつつ、日本国内の大規模エンタープライズ開発やグローバルチームでのPM経験を持ちますが、この構造を理解しているかどうかで結果は大きく変わります。
自社開発転職が難しいと言われる背景にある3つの構造
自社開発企業の中途採用が難しい理由は、単純な「人気企業だから倍率が高い」という話だけでは説明できません。構造的な要因が三つ重なっています。
まず一つ目は、母集団の質です。自社開発企業、特にメガベンチャーや急成長スタートアップには、他社でも通用する優秀なエンジニアが応募してきます。つまり競合のレベルが高い。二つ目は、評価軸がSIerや受託とは異なる点です。要件定義や進行管理の経験よりも、技術選定の意思決定や事業インパクトへの貢献度が重視される傾向があります。三つ目は、採用人数が絞られていることです。事業計画に紐づいた採用枠しか用意されないため、応募が集中しても採用数自体は少ないままです。
SIer・受託と自社開発で評価される経験の違い
| 評価軸 | SIer・受託でよくある経験 | 自社開発で評価されやすい経験 |
|---|---|---|
| 技術選定 | 客先や上流工程の指示に従う | 自ら技術を選定し理由を説明できる |
| 開発スピード | ウォーターフォール中心 | アジャイル、スプリント運用の実務経験 |
| 成果指標 | 納期遵守、要件充足 | KPI改善、ユーザー数、売上への貢献 |
| コード品質 | レビュー体制に依存 | 自らテスト設計や運用まで責任を持つ |
| キャリアの語り方 | プロジェクト規模、役割 | 事業への当事者意識、意思決定の経験 |
この表からも分かる通り、SIerや受託の経験自体が否定されるわけではありません。ただし、そのままの語り方では選考通過が難しくなります。つまり、経験の「翻訳」が必要だということです。
書類選考・面接で実際に見られているポイント
自社開発企業の選考では、技術力だけでなく「事業と技術をどう結びつけて考えられるか」が細かく見られます。面接では次のような質問が頻出します。
– なぜその技術を選んだのか、他の選択肢と何を比較したか
– 開発スピードと品質のバランスをどう取ったか
– 失敗した意思決定とその修正プロセス
– チーム内でのコンフリクトをどう解消したか
筆者がグローバルチームで採用面接に関わった経験から言えば、企業側は「言われた通りに作れる人」より「なぜそう作るべきかを説明できる人」を高く評価します。これはPM、EM、Tech Lead候補であればなおさら重視される観点です。
自社開発企業への転職を実現する4つの実践ステップ
理論だけでは選考は突破できません。以下は実務ベースで有効とされる手順です。
1. 経験の棚卸しを「事業インパクト」に翻訳する。担当したプロジェクトが売上やユーザー体験にどう貢献したかを数値化します。
2. 個人開発やOSS貢献で技術的な意思決定経験を補う。特にモダンな技術スタック(React、Go、Kubernetesなど)への理解を示せると説得力が増します。
3. 転職エージェントを併用し、書類の翻訳作業を客観的に見てもらう。自分では気づきにくい「自社開発視点での弱み」を指摘してもらえます。
4. 選考企業を絞り込む。メガベンチャー、SaaS企業、スタートアップでは求める人物像が異なるため、闇雲な応募は非効率です。
年収面についても触れておきます。自社開発企業の年収レンジは企業規模や事業フェーズによって大きく異なり、一般的にはSIerと同等かやや高めの水準からスタートし、成果次第で大きく上振れするケースが多い傾向にあります。ただし、成長段階のスタートアップでは基本給が抑えられ、ストックオプションなどで補う設計になっていることもあるため、オファー時には総合的な条件確認が欠かせません。
転職を難しくする落とし穴と注意点
自社開発転職において、多くの候補者が陥りやすい落とし穴が三つあります。
一つ目は、技術力のアピールに偏りすぎることです。技術力は前提条件であり、それだけでは差別化になりません。二つ目は、企業研究の浅さです。自社開発企業はプロダクトへの理解度を重視するため、表面的な志望動機はすぐに見抜かれます。三つ目は、焦って条件を下げすぎることです。難しいからといって年収や役職を大幅に妥協すると、入社後のミスマッチにつながるケースも少なくありません。
一方で、デメリットも正直に触れておく必要があります。自社開発企業は組織がフラットな分、裁量が大きい反面、責任範囲も広がりやすい環境です。エンタープライズのような手厚いサポート体制を期待していると、ギャップを感じる場合もあります。
エンジニア特化エージェント「Geekly」を活用する選択肢
自社開発企業への転職活動を独力で進めると、書類の翻訳作業や企業研究に想像以上の時間がかかります。ここで選択肢の一つになるのが、IT・Web業界特化型の転職エージェント「Geekly」です。
Geeklyは、エンジニア・PM・EMといったIT人材の転職支援に特化しており、公式サイトによると2024年時点で自社開発企業を含む豊富な求人を保有しています。特徴は大きく三つあります。まず、IT業界に特化しているため、技術的なバックグラウンドを踏まえた書類添削や面接対策を受けやすい点です。次に、非公開求人を含む自社開発企業の情報にアクセスしやすい点。そして、年収交渉やオファー条件の調整をエージェントが代行してくれる点です。
一方で、正直に言えば向かない人もいます。すでに社内転職市場での人脈やリファラルルートを持っている人、あるいは特定の1社にピンポイントで応募したい人にとっては、エージェント経由のメリットは限定的です。また、エージェントごとに保有求人の傾向は異なるため、Geekly単体で判断せず、自分のキャリア方針と照らし合わせて活用するのが賢明です。
使うときのコツとしては、初回面談で「自社開発企業を志望する理由」と「これまでの経験をどう翻訳したいか」を具体的に伝えることです。曖昧な希望では、紹介される求人の精度も下がってしまいます。

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よくある質問
Q1. 自社開発未経験でも転職できますか。
A. ケースによりますが、可能です。ただし前述の通り、経験の翻訳と技術的な補完が必要になります。個人開発の実績などがあると説得力が増します。
Q2. SIerでの経験は本当に評価されないのですか。
A. 評価されないわけではありません。大規模開発のマネジメント経験や品質管理の知見は一定の評価対象になります。ただし、語り方を事業視点に変換する工夫が必要です。
Q3. 自社開発企業は年収が必ず上がりますか。
A. 一般的には上がるケースが多いとされますが、企業のフェーズや評価制度によって差があります。特にスタートアップでは基本給が抑えられる場合もあるため、総合的な条件確認が重要です。
Q4. 何社くらい受けるのが一般的ですか。
A. 明確な正解はありませんが、目的意識を持って絞り込んだ上で、5〜10社程度に応募するケースが多く見られます。数を追うより、企業研究の質を優先する方が結果的に効率的です。
Q5. エージェントは複数使うべきですか。
A. 一般的には、特性の異なるエージェントを2〜3社併用することで求人の網羅性と客観的なフィードバックが得られやすくなります。ただし対応の負荷も増えるため、バランスが大切です。
まとめ
自社開発企業への転職が難しいとされる背景には、母集団のレベル、評価軸の違い、採用枠の少なさという構造的な要因があります。しかし、経験を事業インパクトの視点で語り直し、技術的な意思決定経験を補うことで、道は十分に開けます。年収や市場価値を上げたいエンジニア、PM、EM候補にとって、自社開発企業は魅力的な選択肢である一方、裁量と責任の大きさというリスクも理解しておく必要があります。


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